戦場ジャーナリスト 橋田信介さん [今日のひとこと]
数日前、映画化された横山秀夫著作「クライマーズ・ハイ」について書いた。
「クライマーズ・ハイ」というのは、ロック・クライミングをしている時に、まるで恐怖心をどこかに置き忘れているかのように無我夢中でどんどん登っていけるような精神状態のことを言うのだろう。
そんなときは、どのような険しい断崖絶壁でもグイグイ登っていけるのだが、もしその途中で、正気に帰ったときはもう一歩も動けなくなるくらい恐怖心に襲われると言う。登るにも登れず、降りるにも降りられず、手も足も動かなくなってしまうものらしい。
そうした精神状態にあるときに登りきっていたほうが救われるものがあるのだろう。
戦場ジャーナリスト橋田信介さんもそうだったのだろうか・・・?
「深イイ話」で放送されていた内容で感じたことなのだが、常に戦場では攻撃される側での取材撮影を続けてこられたようです。
橋田さんがレポートしているほんの何メートル先には銃火の赤く真っ直ぐに光る弾すじ、爆弾かミサイルの爆発し煙を上げるさまなど映し出されている。
そうした中、橋田さんは冷静にマイクを持ちレポートしている。
運が悪ければその瞬間には全て「無」の世界に引き込まれてしまう。
現実に2004年5月27日、イラク戦争の取材中、甥の小川功太郎さんとバクダットで銃撃され帰らぬ人となってしまったのだが、その1年前に橋田信介さんが大学生に講義を行っていた様子が放送された。
講義の内容は・・・
<僕らは「人を殺してはいけない」っていうね。鉄則でしょ!
でも戦争の場合はさ。殺せば殺すほどね。バッチが貰えるって世界でしょ。
そういう世界って頭おかしくなっちゃうんだよね。
昨日までパッパパッパ撃って、バタバタ人が死んでてね。
ワーワーワーワやって、でポッとね・・・こういうとこ帰ってきて、皆さんが携帯とかテレビゲームやっているのを見るとね。
自分の内面の中で精神の均衡がとれなくなるんです。
戦争取材が終わって、朝カーテン開けてそれで・・・
青い空とか白い雲とか緑の木々とかね、どうってことないねちっちゃいタンポポとかね。
風景と色がものすごくね 新鮮に自分の気持ちの中に入ってきます。
僕が伝えたいのはつまり・・・
時々楽しいことがあるから、是非ね生き延びて欲しい。
生きていて欲しい。>
人間の「死」に直面し、感じた人にしかわかりえない言葉だろう。
そうした人が言った言葉だから・・・言葉に真実が籠められている。
橋田信介さんの著書には遺書が認められていた。
<私の人生は 楽しかった。>
《 参考動画 》
「クライマーズ・ハイ」というのは、ロック・クライミングをしている時に、まるで恐怖心をどこかに置き忘れているかのように無我夢中でどんどん登っていけるような精神状態のことを言うのだろう。
そんなときは、どのような険しい断崖絶壁でもグイグイ登っていけるのだが、もしその途中で、正気に帰ったときはもう一歩も動けなくなるくらい恐怖心に襲われると言う。登るにも登れず、降りるにも降りられず、手も足も動かなくなってしまうものらしい。
そうした精神状態にあるときに登りきっていたほうが救われるものがあるのだろう。
戦場ジャーナリスト橋田信介さんもそうだったのだろうか・・・?
「深イイ話」で放送されていた内容で感じたことなのだが、常に戦場では攻撃される側での取材撮影を続けてこられたようです。
橋田さんがレポートしているほんの何メートル先には銃火の赤く真っ直ぐに光る弾すじ、爆弾かミサイルの爆発し煙を上げるさまなど映し出されている。
そうした中、橋田さんは冷静にマイクを持ちレポートしている。
運が悪ければその瞬間には全て「無」の世界に引き込まれてしまう。
現実に2004年5月27日、イラク戦争の取材中、甥の小川功太郎さんとバクダットで銃撃され帰らぬ人となってしまったのだが、その1年前に橋田信介さんが大学生に講義を行っていた様子が放送された。
講義の内容は・・・
<僕らは「人を殺してはいけない」っていうね。鉄則でしょ!
でも戦争の場合はさ。殺せば殺すほどね。バッチが貰えるって世界でしょ。
そういう世界って頭おかしくなっちゃうんだよね。
昨日までパッパパッパ撃って、バタバタ人が死んでてね。
ワーワーワーワやって、でポッとね・・・こういうとこ帰ってきて、皆さんが携帯とかテレビゲームやっているのを見るとね。
自分の内面の中で精神の均衡がとれなくなるんです。
戦争取材が終わって、朝カーテン開けてそれで・・・
青い空とか白い雲とか緑の木々とかね、どうってことないねちっちゃいタンポポとかね。
風景と色がものすごくね 新鮮に自分の気持ちの中に入ってきます。
僕が伝えたいのはつまり・・・
時々楽しいことがあるから、是非ね生き延びて欲しい。
生きていて欲しい。>
人間の「死」に直面し、感じた人にしかわかりえない言葉だろう。
そうした人が言った言葉だから・・・言葉に真実が籠められている。
橋田信介さんの著書には遺書が認められていた。
<私の人生は 楽しかった。>
《 参考動画 》
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バンコクにいた時、子どもたちの学校に橋田さんの
奥様と、橋田さんが生前目を治してあげたいと活動&援助
されていたイラクの男の子が、日本で手術を終え
挨拶にいらっしゃいました。
橋田さんは戦場などに行く拠点として、バンコクに
住んでおられたんです。
子どもたちと戦争について考えるきっかけとなったことを
思い出しました。
by どんちゃ (2008-07-18 21:03)
私はテレビ版の「半落ち」を観て感動して「クライマーズ・ハイ」を読みました。
どちらも、すごい劇的な事とか奇跡ではなくて、現実の難しさや切なさ、その現実を受け止めていく事の大変さ、大切さが切々と語られていたと思います。
橋田さんの様に、戦争の現実を間近で見たからこそ
「人を殺してはいけない」「生きて欲しい」って言うシンプルな言葉に重みがあるんでしょうね。
by 猿知恵 (2008-07-18 21:58)
どんちゃさん いつもありがとうございます。
橋田さんの映像を観てこんなにやさしそうな方が何故戦場ジャーナリストなどと言う仕事をされているのかと思うくらい素敵な方ですね。
そうでしたねぇ~イラクの子供の目を治してあげたいという思いを知ったイラクの人たちが事件の後犯行グループを批判した。と同時に犯行グループからも謝罪の言葉があった記憶があります。
後にも先にもこうした犯行グループによる謝罪の言葉が報道されたのは橋田信介さんだけですね。
by saimon (2008-07-19 02:36)
猿知恵さん いつもありがとうございます。
「半落ち」は観たいといいながらなかなか機会がないままいます。
映画では寺尾聡さん主演作でしたかねぇ・・・
前半を観ていないけれど、いろいろ考えさせられる映画だと思います。
橋田さんすごく優しい目をした人ですねぇ~
たくさんの人の死を現実に見ているから生きることの素晴らしさを知っているんでしょう。
人間は贅沢な生き物なのか・・・幸せすぎるとそれさえ忘れて不幸だと感じることも多々あるようです。
生きているだけでも喜ばないといけないんですけどね。
by saimon (2008-07-19 02:52)